【恋愛相談ask500件到達記念・恋愛相談対談企画】

教えて恋愛対談おじさん!(中編)

 対談はどんどん続いていきます。たぶんこの中編が、そうとうなヤマ場、というところです。

 少なくともこのあたりの時点で、いやこの企画打ってよかったわ、と僕は思い始めていました。

 引き続き、よろしければ以下お楽しみください。

 

 前編はこちら、後編はこちら


■ 登場人物

綱手 藍(つなで・あおい)さん


都内の大学四年生。鼻歌を歌う人は臆病ものといいますが、歌詞が覚えられないだけの鼻歌うたいです。八九寺真宵さん一神教徒。愛は諦め。(ご本人による自己紹介)

きしょう@daikouzui

 

社会人3年目。生きづらい歴は25年目。恋愛相談をいただくようになってもうすぐ2年。冗談交じりで「おじさん」を自称しているうちに本当におじさんになっていっており驚くやら悲しいやら。


■おたより3通目:愛があれば「出会い」なんて……?

3通目いきます!

これはもともと僕個人宛てのaskだったのですが、askを通してお願いして、今回おたよりとしてご紹介する形とさせていただきました。完全にask経由のコミュニケーションなので、これでよかったのかちょっと不安もあります。何か不都合があれば、おっしゃっていただきたいと思います。


出会い系アプリを軽い気持ちで始めて、なかなか良い出会いはないなあと思っていたところに、理想の条件?的にすごく良い方に出会いました。一緒にいて疲れないし、楽しいので、何度かお会いしています。でももし付き合うとか結婚することになったとしたときに、きっかけは出会い系です、と言いたくなくて(友達もそうですが、特に親には)・・・なんだかあんまり良いイメージがないじゃないですか。共通の知人もおらず、バックグラウンドも全然違うし知らない人と付き合うのに抵抗があります。その人が良い人ならきっかけなんて関係ない、とは思うのですが、漠然とした不安があります。きしょうさんのご意見聞かせて下さい。



私、このおたよりけっこう思うところがあって。「マジかー」って。

言いたいことズバズバ言ってもいいのかなあ。

えっちょっと待って、そんなに?

おたよりとして紹介することになった経緯のこともあるし、ちょっとお手柔らかに……。

引っかかるところが2点あるのね。

あ、始まった……。

まず「理想の条件」ってところ。お付き合いをこれから考える段階で「条件」かよ、って。

それと、出会い系であることを言いたくない、ってところね。そんなにパブリックイメージが先行なのかな、それでいいのかな、って。

うーん、「条件」ってのは、askとかだとちょっと難しいところで、たまたまそういう言葉の使い方になってしまっただけなのかもしれないかなあ、と思う。

確かに高学歴高身長高収入、みたいなことだけ指しているのであれば同じ感想だけど、そうじゃないかもしれない。書いてある通り、一緒にいて疲れないし楽しいのは何より大事だし、趣味が合うとか波長が合うとか、そういうのだって条件だもん。

あー、それはそうかも。うん。

でもやっぱり言い方はイヤかなあ。「同じ条件の人がふたり現れたらどうするの!」って思う。

でもまあ、条件っていっぱいあるわけで。同じ条件、ってなかなかいないよ。

子どもは何人とか、あとは仕事をやめて家庭に入ってほしいとか言われると、そこは明確に対立ポイントになっちゃう。そういうのってある意味では年収とかお家柄みたいな話と表裏一体なのかもしれないけど、でもやっぱり、すごく大事な、価値観の問題で。そういうところまで見通した、誠実な関係をつくっていこうとするなら、別にいいと思うけどな。

確かに、その人の装着物ばかり見ているなら「げろげろ〜〜〜っ!」て感じだけど、価値観とか志向とかに関してなら、確かに全然問題ない!

それに、結婚まで見通しているのであれば、パブリックイメージだって大事だと思うよ。恋人関係ならまだふたりの間で閉じていてもいいわけだけど、結婚するってなったらいろんな人に言わないといけないし。

うーん、でも、出会い系、って必ずしも言わないといけないのかな。

最近だったらさ、「婚活しました!」でいいじゃん。

言い換えかたはいっぱいあるね。学生の頃に披露宴会場でバイトしてたから、いろいろ婉曲表現があるなあ、って聞いてた。(笑)

合コンだったら「友人の紹介」って言えるし、SNSとかでも、やっぱり「友人の紹介」とか、あとは「趣味のつながり」とか。少なくとも披露宴くらいのレベルだったら、プロに任せちゃえばなんとかなる。そんな夫婦も世の中にはいっぱいいるわけだから。

友人経由で知り合ってー、って、だいたいそういう感じかも。

そこは工夫しだいでなんとかなるよね。

家族とか親しい友達とかに、もうちょっと詳しく紹介するときでも、きっかけだけの問題なんだから、ふたりで話し合って「公式設定」をつくっちゃえばいいんだと思う。

でも一方で、ゴールまで考えるんなら余計に、もうちょっと人間関係はがんばらないと、と思う。「共通の知人もおらず〜」ってところね。

共通の知人なんかこれからつくって、既成事実化しちゃえばいいんだ!

そうそう。それを尻込みするのもわかるんだけどね。僕だってそうだし。

ゆくゆくは相手の親兄弟だって、こちらとしては他人からスタートするわけだから。そこはがんばるべきポイントだと思う。

あとさ、付き合っているわけでもないんだよね?

結婚前提みたいになってくると、私が想像しているものとは違ってくるのかもしれないけど、まずは付き合うところまでいこうよ、別れちゃったっていいわけじゃん、って思う。付き合ってはじめてわかることも、たくさんありそう。

うん、それはあるね。とにかく何か動かないと、わかってこないこともある。

それとあとひとつ、ここまでわざと言わなかったんだけど……。

え、なに?

これもaskだとちょっと難しいところで、ここまで僕らはだいたい女性からのおたよりのイメージで話してきたけど、男性であることを否定する要素は文章中に何もないんだよ。他のおたよりだってそうだけどさ。

ほんとだ。

男の人だったらやばい……。もし本当にそうで、最初から明示されてたら、けっこう怒ってるかもしんない!


それだけ、悩むべきポイントじゃないところで悩んでいるともいえる。もし男性だったら、なおさらね。

あとひとつ引っかかったのは、「良い人ならきっかけなんて関係ない、でも……」みたいなのは、どこにでもある普通の悩みのはずで、何に葛藤してるんだろう、って。

うーん、やっぱり理想型の「普通」じゃないから、後ろめたいところはあるのかな。

そんなに「エロス!」みたいな出会い系サイトなのかな。


えー、よくわかんないけど、最近流行りのマッチングサービスってやつじゃないの?

確かに相手がよくわからないところに飛び込むところはあるかもしれないけど、そこを乗り越えれば結婚相談所とかとほとんど変わんないと思うなあ。

しかも結局のところ、こういう感じの真面目な悩みに至っているわけだから、もはやサービスのジャンルとか雰囲気は関係ないよね。

じゃあ別に、そんなに背徳感みたいなのを感じなくていいと思っちゃうな。

「出会い系サイト」って、すごくわかりやすい表現だからよくないよね。ジャンル問わず、あるサイトで出会ったら、そこは出会い系サイトなのかって話だよ。

僕よりちょっと上くらいの世代が高校生だった頃に、狭い意味での出会い系サイトで事件がいくつか起こって、出会い系サイト規制法ができて、っていう流れがあったわけで、「インターネットで知り合うのは怖い! 悪!」って風潮も、たぶんそのへんから始まったんじゃないかな。そういうリスクはもちろん、なくなってはないわけだけどさ。

わけわかんない人とネットで知り合うこともあるとは思うけど、気の合う人と知り合っちゃえばそのあとは関係ない!

うんうん。

中高生に「インターネットで知り合った人と会うのは危ないです」って教えるのと、大人がしっかりやりとりしたあとで、マッチングサービスで知り合うのとはだいぶ違うと思う。

純粋に出会いを求める人も多いわけで。親が決めた相手と結婚する、みたいなこともずいぶん減ったんだと思うし、お見合い結婚なんて、なんて風潮もある中で、合コンとか出会い系とか、新しい「きっかけ」が否定される筋合いはまったくないよね。

きしょうさん、語るねえ。(笑)

例えばさ、「出会い系で知り合いました」じゃなくて、「Twitterで知り合いました」なら言えるのかな。

微妙なとこだけど、でも「出会い系」って言っちゃうよりは、響きは数段マシだよね。

いいヒントだと思う。完全に嘘をつくのは無理でも、そういう本質的には何も変わらないものに言い換えるのはアリ。mixiのコミュニティで〜、とかでもいいよ。「出会い系」って言葉に縛られて引っぱられて、ってのが強すぎる気がするな。

あとは、出会い系とか、とにかくネットで知り合ったから、ってのじゃなくて、まだ関係性に自身が持ててないから不安ってのもあると思う。

まずはその人との関係を、時間をかけてしっかり成熟させて、そこから考える、ってのもひとつの観点ではあるかもね。

そうだね。ほんとそう。

だから現段階では、行き当たりばったりの取りつくろいで、あんまり人に情報を出さないほうがいいのかも。

わかる。

でも、味方がいれば心強いよね。

おたよりでくださった内容を、いちばん仲のいいお友達に相談してみるのもいいかも。

言いふらしてアピールするんじゃなくて、信頼できる人に相談するなら全然いいよね。

それで、この先のおふたりに幸せがあるとして、それは知り合った経緯も、そこに対して抱いていた不安もひっくるめて全部含まれているはずだと思うんだよね。

私たちとしては、そこまで含めて「理想のお相手」であることを願うしかありません。

……という感じでしょうか。最初ちょっと怒っちゃったけど、皮肉じゃないよ!

もちろんですよ。わかってるって!


■おたより4通目:「人はなぜあたまぽんぽんをするのか」

4通目。ここから、ネタ枠みたいなおたよりが続いていきますよ。


ここでカンペ「あおいさんの頭をぽんぽんして、行けそうだったらためらいがちにハグする」



これね、まずひとこと申し上げると、私アンチあたまぽんぽん主義者なんだよね。

あら。

あれほんと謎なの。ここを今日はぜひ掘り下げたい。

男の人って、どういう気持ちで女の子のあたまをぽんぽんするんですか!

うー…………うーん……………………。

これは言語化に時間がかかる予感。とりあえず、恋人に対してなら他の身体的接触の一環。

OKOK、わかるよ。

でも男の人って、なにげに普通の友達にもするでしょ?

する。してた。

あの意図がね、とっても気になりますね。

これかなり切実な問いかけだからね。時間かかってもいいからこれには絶対答えてほしい!

ええと、うん。頑張るけどさ。

とりあえずビール飲んでもいい?

どうぞどうぞ。(笑)

飲まなきゃやってられねえよ
飲まなきゃやってられねえよ

あれは……あれは、なんかね、「後戻りできるライン」なんだよ。

後戻りできるライン……?

ああ、要するに、そこから先に進む可能性もあると思ってやっている、と。

うん。ケーススタディによると、だいたいそう。


  (両名、爆笑)


じゃあさ、行けそうだな、って思った相手にするわけだ。

いや、それはちょっと違う。うーん……ええと。

「アレと同じ」みたいに言いたいんだけど、うまい例えが思いつかない。

私、いい質問してるなー!(笑)

世間の女の子の謎に答えていっていただきたい!

あー、アレだ。例えが新しくないけど、メールでわざわざハートの絵文字使う、みたいな。しかも大きいほうのやつを。

あー……。(笑)

そこには身体的接触があるから、そこまで手軽にできることではないけど、でも意味合いとしてはそのくらいだと思う。

勘違いしてくれてもいいよ、ぐらいのことを曖昧に思ってる感じか。

プラス、それをもって何かを約束するわけではないんだよ。

ないねないね。何も明言してないわけだから。

判断を相手に委ねる親愛のポーズ、って感じなんですかね。

そう。なんか、「そういう」意味じゃなくて、でも「ワンチャンあると思ってるんだぞ!」という表明。

なるほどねえ。

私、昔すごく仲良かったけど引っ越しで疎遠になって、同窓会で10年ぶりくらいに会った男の子に、別れ際にあたまぽんぽんされたことがあって。

身体的には、うおおおおおおお、ってなった一方で、何を意図したものなのかまったく読み取れなくて、結局すぐにガーッて冷めて。そのふたつがあいまって、思い返してみてすごく複雑な心境だったの。

それで結局、やっぱりわからない気持ち悪さが勝っちゃって、それ以来アンチあたまぽんぽん主義者になってしまったんだけど。とにかく、不気味な経験だったな、って思う。

あとから意味づけて認識しようとするならば、それはそのときの状況とか感情とかから切り離されてしまうから、よくわかんないしキモいわ、と普段から思ってれば、振り返ってそういう評価をしちゃう。

わかる。そうだよね。

で、その相手のことまで気持ち悪くなっちゃう。

それかなー。

それでも、あたまぽんぽんは大変よいコンテンツであり、コミュニケーションだと思うの。

私はそこに込められた欲望がわからなかったから、気持ち悪かったんだと思う。

考えてみたら、何かのはじまりをとらえるとしたら、手をつなぐとかよりカジュアルでいいよね。

まあ、そうかな。

うん、やっぱりいいものだと思う。

私以外の女子はみんな喜ぶはずだから、積極的にやっていっていただきたい!

いやいや、でも一定数以上にイヤな人はいるし、そういう人ってえてして「女の子はみんな気持ち悪いと思ってる!」みたいな言い方をするから、僕たちみたいなあたまぽんぽんしたいぜ的なオタクはみんな傷付いているわけなんですよ。そのへんどうですかね。

うーん、私が気持ち悪かった理由を考えてみると、気持ちが何も伝わってないんだよ。

あー、わからんでもない。

ボディタッチでコミュニケーションするわけだから、なんというか、あうんの呼吸を要求するんだよね。あおいさんにも、結局のところ何も伝わってなかったわけで。

そう。イヤだって言う人たちは、だいたいそういうことなのかな、って。

でも、単にチヤホヤされるのが好きでそれがどこまでも幸せ(ただしめんどくさいことに巻き込まれなければ)、みたいな人もいるじゃん。

いる!

そういう子たちは絶対嬉しいよ。でも、チヤホヤに意味とか理由を求めちゃう人は少なくとも好きじゃない。そういうこと。

でもまあ、そういうコミュニケーションが許されるのも、学生時代までだよね。

僕だってもうできないもん。

大人になるとねえ。

あとは、身長とかの問題もあるよ。「ちいさくてかわいい」みたいなことの象徴でもあるわけだからさ。あおいさん、割と身長高いほうじゃん。

比較的小さい子だと、そういう扱いにも慣れてるのかな。私は女子校出身だったけど、確かにそういうこと、小さい子にはしてた。

まあ……相手を選びましょう、という話ですね。

それができるのが、かわいさの象徴であるのと同時に、ちょっとしたスリルでもあるんだよね。結局はまあ、「後戻りできるライン」ってことだけどさ。

まあ確かに、そういうスリルも大事かもね。学生時代まで、ってのもちょっとわかるけど。

全然意味がわかんなくて、でもなんとなくわかってよかった。

ここでカンペ、っていうネタaskから、ここまでくるとは思わなかったけどね。(笑)


 僕がハタチの頃からネタにしてきた「あたまぽんぽん」が、こんな形であらわれてくるとは思いませんでした。おたよりをくださった方の、玄人っぷりが際立ちますね。なんて。

 

 前編はこちら、後編はこちらから。